AMD+ATI→VP付MPUへの茨の道

AMD+ATIの統合プロセッサの姿(後藤弘茂のWeekly海外ニュース)
私はベクタプロセッサ(VP)をそれはそれは愛しているのでAMDATI買収によりGPU内蔵MPUが実現してそれが次第に汎用VP付MPU方面に変化してくれるというストーリはそれはそれは嬉しい。だけどじゃあ実現可能性はどうかというとそれはそれは険しい。ハードルが沢山ありすぎる。
誰でも思いつくようなハードルは既に各種記事になっているが、一つだけあまり言われてないのはコンパイラの問題だ。スパコンの世界では、VPは自動ベクトル化コンパイラの技術によって普及に弾みがついた。このコンパイラは、「普通にFORTRANで書くと」ループ内にある配列参照をVP用命令に変換(=ベクトル化)してくれる。その結果、プログラムによっては100倍も速度が上がったりするあたりがVPの醍醐味だった。ベクトル化には配列参照の依存という概念を理解しなきゃいけないというちょっとしたコツが必要だが、それさえわかればプログラムの記述自体は別に特殊なものは必要ない手軽さが売りだ。
VP付MPUにおけるVPも、シェーダや動画のエンコーダ・デコーダ以上の使い方を考えるとアセンブラでは書いていられないのでコンパイラが欲しくなる。そのコンパイラもできれば特殊な言語ではなく普通のCなどの言語で書きたいという要求が出るだろう。そのときにAMDはどうするんだろう。Intelは強力なコンパイラ開発部隊を持っているが、AMDにはコンパイラ部隊はないように見える。もちろん外注すればいいという話もあるが、VPのISAを決めるときには是非ともコンパイラ作成者の意見を取り入れるべきだから、中に人を抱えておくほうが有利。もっともコンパイラ部隊はなくとも経験者がいればいいので、そういう人がアーキテクトにいればいいんだけど。
ということでもし人がいないなら、日本でスパコン事業やめてしまった某社や某社のコンパイラ経験者を引き抜いてはいかがでしょうか?(^^;>AMD