WPFでHLSLが使えることの持つ意味

私を含めた技術系の研究者に時折求められることの一つに、新しい技術が生まれたときにそれが社会に与える影響を予見することがあります。特に、悪影響の予見は重要です。この予見は当たるか当たらないかわからないものが多いですし、それほど心配する必要がないのに悪影響の予見だけが変な広まり方をしてその技術の発展を阻害してはいけないと思います。それでも可能性がゼロではない限りは、その可能性について検討する必要があると思うのです。特に情報セキュリティの研究者を名乗る者にとっては。今回もそういう話です。
ちょっと前にそむにうむさんのmixi内の日記経由で知ったのですが、WPFにHLSLが載るそうです。
WPF に HLSL がやってくる(NyaRuRuの日記)
CG屋とか、HPC/Grid屋のとしての私にとっては大変朗報なのですが、最近セキュリティ屋の血が濃い私は「ちょっと待てよ?」と感じてしまったのでした。
CPUの性能が伸びなくなってしまった今、GPUは当面の伸びしろとして期待されているわけですから、この動き自体は自然でしょう。ですが、一般的に言って、ネット越しに落ちてくるコードが高い計算能力を持つことは、それだけで凶器になり得ます。SilverlightのSandboxの細かい仕様をまだちゃんと調べていないので詳しいことは言えませんが、私の頭の中にはいくつかの、この技術を凶器として使うシナリオがあるので、その実現可能性をちゃんと調べないといけないなぁと思っています。そのことを忘れないうちにここに書いておきます・・・・他の専門家の方も、もしよろしければご検討願えませんか。
追記:id:NyaRuRuさんに早速、Silverlightはまだ3D機能がないというご指摘を受けました。逆にFlashの10はGPU使うそうです。あーう。勉強項目が増えました。
ただ、多分RIA競争の世界に入ったらそのうち3D処理させられるだろう、その先にはHLSLもあるかもしれない、と思うのです。だから、その前に考えられるシナリオは考えておいた方がいいんでしょうね。とりあえずはAIRの方をよく調べることから始めます。