自治体セキュリティは誰が支えるべきか

研究室内ゼミで研究紹介をやった。いくつかあるネタのうち先月インターネット放送ネタをやっちゃったので今日は自治体セキュリティを。考えたら、自治体職員以外の人を前にこういうネタをすることは意外と少ない。信学会のSITEで招待講演させていただいて以来かもしれない。
自治体職員以外の人とこの手の話していると感じるのだが、普通の人が持つ役人・役所への不信は根深い。もちろん、公務員への過度の厚遇だの不祥事だの、批判されて然るべきところは多々ある。組織そのものの構造的な問題もある。それへの批判は大切だし監視する批判勢力は確かに必要だ。マスコミにはもっと頑張ってほしい。
でも、皆が皆批判勢力になっても何も解決しない。批判に役所が過剰反応して無駄金投じて過剰な防衛策を打たれても困る。そこで無駄遣いされるのは我々の税金、といって金をケチって危険に晒されるのは我々の個人情報。もし自分の住んでいる市町村の住基システムが突破されて個人情報が全部漏れたら、あなた役所に行って損害賠償金1万払えといいますか?って話だ。全住民が1万ずつもらったとしてもそれは元はといえば税金だ。こんなことをしても、その市町村の財政が厳しくなって増税なり住民サービス低下に反映されるだけのこと。結局自分の個人情報は人質に取られているも同然の状態なんだから、当事者意識はもっと持ってもいいんじゃないか。自分の税金の無駄遣いを抑えつつ、自分の個人情報を守るためにもっと直接的な関わり方をするべきなんじゃないのか。住民と役所の間のリスクコミュニケーションがあまりに足りないんじゃないか、と思う。
もちろん誰もが直接的な関わりができるわけじゃない。その点、大学の人間はいい立ち位置にいるはずだ。そもそも、大学は社会の知恵袋であって、そこに雇われている人間はそういう公共性があることに関して知恵を出すために社会に養われてるんじゃないのかと思っている。だからこの分野で働き始めた。なかなか仲間が増えないのは悩みの種だが。
直接関われないにしても批判は皆ができるはずだ。是非外圧はかけてほしい。そこでお願いは是非ポイントを押さえた批判を、ということ。特に住基ネット騒ぎのような大暴投は本当にカンベンしてほしい。