ビルが去る

週末、ビルゲイツ引退の報が駆け巡った。まぁCEOを退いたときからの規定路線ではあったわけだし、当分会長に残るだろうから今すぐ退く訳ではないので、なんだか新庄の引退宣言に似たものがあるけど、それでも感慨は深い。
彼の功罪は私が言うまでもない。もちろん罪も多々あるけれども、基本的には私は彼が好きだ。大型汎用機だけがコンピュータで、マイコンなんてオモチャと見られていた時代、世のマイコン少年(とごく少数の少女)はみな、今に見ておれと思っていたハズだ(と思いたい!)。その「今に見ておれ!」を本当に形にできる力を持っていたのは結局、マイクロソフトが最右翼だったので、彼は支持を集められ続けられたのではないか。少なくとも私は「Big Blueを早く倒してクレー」の1点だけで、彼を支持し続けていたから。
結果として確かに大型機の時代は去り、誰が見てもコンピュータの主役はパソコンになった。ただ、その先がちょっと読み違えたんじゃないか。ネットの重要性は理解していたが、自前でそれをやろうとして失敗した(旧MSN)。そこでInternetに急速に舵きりしたまではよかったけど、Webサービスは早くから手をつけてたにもかかわらず(hotmail・・・ってこれは買収だけど)、さらにリッチなものは.Netをゆっくり準備してる間にAJAXにしてやられているように見える。だいたい、MSってとりあえず動くものを作ってチャチャっと撒いて後からじっくり作りこんでゆくという悪評高いスタイルが多かったけど、リッチコンテンツに関してはセキュリティが怖いから.Netという枠組みをきっちり作ってからなんてやってる間に、とりあえず動くAJAXにしてやられてしまったのはやや皮肉。やはり悪貨は良貨を駆逐するのか。
とにかく、彼も最近あまり夢のある近未来を語ってない気がしていたので、そろそろ潮時だったのかも。