そもそも不正アクセスって

忙しくて泣きそうなんですがなんとか湯沢に来ていますよ。
本日、警察庁の安部さんの講演が。内容はまぁ公表されたものがほとんどだったのだけど、今年はこれに関連して「啓蒙活動は結局は被害にあわないようにしましょうという内容になっている。それも大事だが10代の不正アクセス犯が伸びている背景には特に若年層に対する、加害者にならないための啓蒙活動が弱いからじゃないのか、そこをサポートしてもらえないか」という趣旨の質問(という要望)をぶつけてみた。それを受けて高木さんがいいフォローとなる質問をしてくれた。まぁ彼らしく質問ではなくほとんど意見だったのだが(笑)その中に「そもそも他人のIDとパスワードを使うという行為がモラルとしていけないというコンセンサスが得られていないのに法ができてしまって、子どもがそれを罪と認識できていないのではないか」という話があった。いいポイントだと思う。
そもそも、不正アクセス禁止法は、他人の識別符号の入力の先の実害を防止するために、識別符号の入力そのものを罪とするという構造になっている。社会規範の作り方としてはメジャーなやり方だけど、子どもにそれが罪とされていることを納得させるには、それなりに丁寧な説明が必要だろう。われわれ大人は不正アクセス行為の先に、ネットバンキングからシステム破壊行為まで、金銭的に大きな被害をもたらしうるものがあることを知っている。だが子どもの世界で想像しうる「不正アクセス行為の先にありうる被害」は、せいぜい他人のメールが盗み読めたり、他人の持つネットゲームのキャラを使えたり(これはまぁ時間従量課金とかなら金銭的被害があるが月額一定なら実質被害はない)するあたりかもしれない。だとすると、それがモラルとしてイケナイこととと認識させることはできても、違法行為として認識させるのはすぐには難しいかもしれない。
ルールはシンプルなほうが守らせやすいという意味で、不正アクセス行為そのものを罪とする構造はよくできている。ただ、みんなにルールを遵守する気にさせるには、事例をちゃんと教育していくしかないんだろうな。