日本のフォレンジック調査会社は少なすぎる

もひとつ、デジタルフォレンジック研究会のコラムから、萩原さんのを。
デジタル・フォレンジック調査の夢」](デジタルフォレンジック研究会 コラム)

現在、このような意味でのフォレンジック調査を商売として行っている会社はUBICやネットエージェントなどまだまだ数が少ないと思われます。そのせいか、外資コンサルタント会社に時々フォレンジック調査依頼があっても、大抵は米国、香港などのいわゆる外国人部隊を招き作業を行っている例が多いと聞き及んでおります。

直接の利害がある萩原さんですからやんわりとしか書けないんだと思うので、代わりに私が書きますが、見逃せない問題だと思っています。例えばある米国企業との間で訴訟沙汰になった日本企業が、外資系コンサルにe-Discovery対応を依頼して、これが下請けの海外フォレンジック調査会社に投げられる(それも米国の)ってことが実際に起こっているようなのですが、ちょっと寒くないですか。しかも今後は、こういう現象の主戦場が米国から中国に移るかもしれないわけです。フォレンジック調査員は調査対象企業の企業秘密にかなり自由にアクセスできます。この調査員に万一産業スパイが紛れ込んでいると、情報ダダモレという事態を招きかねません。もちろんコンサルはそうならないように信用出来る調査会社を選んでいるでしょうけど、日本企業の立場からいうと、そんな重要事項の判断を外資系コンサルに全面的に委ねているという状態だと言えます。それでいいんでしょうか。
日本のフォレンジック産業というものがもう少し活発になって、フォレンジック調査会社が増えて、その各社の能力の評価も定まって、企業がちゃんと信用出来る会社を選べる・・・そんな状態にならないと、国益を損ねかねない事態だと思うんですが。